建築物省エネ法について
2015年（平成27年）7月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」（建築物省エネ法）が公布され、2017年（平成29年）4月1日から適合義務や届出等の規制措置が施行されました。
2021年（令和3年）4月1日からは、非住宅の適合義務対象の床面積が2,000㎡以上から300㎡以上に拡大されました。
更に、2025年（令和7年）4月1日からは、原則として床面積10㎡超の全ての建築物（住宅・非住宅）に「適合義務制度」が適用されることになりました。
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建築物省エネ法について
省エネ基準適合に係る規制の概要（新築）
新築の場合
全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けされました（第11条第１項改正）。（図「基準適合－１」参照）
ただし、以下の建築物については義務付けの対象外となります。
・居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける
必要がないもの
・歴史的建造物、文化財等
・応急仮設建築物、仮設建築物、仮設興行場等
所管行政庁又は登録省エネ判定機関に、建築物エネルギー消費性能確保計画（省エネ計画）を提出し、建築物エネルギー消費性能適合性判定（省エネ適合性判定）を受け、基準に適合していなければ、確認済証の交付が受けられず着工できません。
省エネ基準適合に係る規制の概要（増築）
増築の場合
これまで増改築後の建築物全体が対象でしたが、改正後は、増改築を行う部分にのみ省エネ基準適合が求められます（図「基準適合－２」参照）。
適合義務対象となる建築物に係る手続きの流れ
計算方法について
建築物省エネ法の非住宅計算方法は以下の3つの方法があります。
それぞれの特徴を踏まえ計算方法を選択することになりますが、標準入力法はモデル建物法と比較し、省エネ適合性判定に係る審査や完了検査が煩雑となるケースが多いため、省エネ基準適合義務対象建築物については、モデル建物法で省エネ計算を行うことがほとんどです。
弊社では、適合性判定に用いる計算方法は「モデル建物法」になります。
標準入力法
基準省令第1条第1項第1号イによる方法
特徴
- 建築物内にある全ての室単位で、床面積や設置設備機器等の入力が必要になります。
- より多くの技術や省エネ効果を反映した精緻な評価ができます。
- 省エネ計算や適合性判定審査の負担が大きくなり、費用もかかり、納期もかかります。
- 工事監理・完了検査において確認・検査すべき項目が多く負担が大きくなります。
モデル建物法（通常版）
基準省令第1条第1項第1号ロによる方法
特徴
- 室単位ではなく建物全体としての主たる建材や設備機器等の性能値を入力します。
- 簡易な計算方法のため、省エネ計算や適合性判定審査の負担が小さく、費用も安く、納期も短くなります。
- 工事監理・完了検査において確認・検査すべき項目が標準入力法に比べ少なく負担が軽くなります。
- 評価結果は、標準入力法より厳しめ（安全側）に出ます。
モデル建物法（小規模版）
基準省令第1条第1項第1号ロによる方法
床面積が300㎡未満の小規模建築物（非住宅）が対象で、300㎡以上の建築物に使用することはできません。
特徴
- 入力項目は、基本情報・外皮・空気調和設備・機械換気設備・照明設備・給湯設備の6つです。
昇降機や太陽光発電設備、コージェネレーション設備を設置する場合であっても、それらの設備がないものとして評価を行います。 - 入力項目を削減した関係で対象外となっている各設備の省エネルギー効果を加味した、建築物の一次エネルギー消費性能を評価する場合は、「エネルギー消費性能計算プログラム（非住宅版）モデル建物法」、もしくは、「エネルギー消費性能計算プログラム（非住宅版）標準入力法」を使用することになります。
- 建築物の用途が複数混在する非住宅建築物（複数用途建築物）を評価する場合は、各用途の建築物について計算を行い、その結果がそれぞれ全て適合の場合においてのみ、「適合」と判断することができます（一つでも不適合の用途が存在する場合は、不適合となります）。
- 入力項目を限定していることを踏まえ、計算結果はモデル建物法（通常版）より厳しめ（安全側）に出ます。
そのためモデル建物法（通常版）では基準を達成してもモデル建物法（小規模版)では未達成になる場合がありますのでご注意ください。
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